エジプトの神官

今回は、白い額縁のある正三角形の鏡に入った。
前回もだが、今回も鏡に入るときに引率があった。
おてて〜、つーないで〜♪
誰ですかねえ・・・。ガイドさんかな?
 
ピラミッドと砂漠が見えた。
おお、エジプト?!
と思っていると、視界の砂漠にウワッと木が生えた。
砂漠の部分の多くが木に覆われ、森になった。
何だこりゃ。
 
私はサンダルをはいていた。
白い服に、凝った織物の細い帯をしていた。
服は袖のない、ボタンなどもないワンピースになっていて
(かぶるような感じで着る)、
ひざ上10cmぐらいまでの長さだ。
足が丸出し。
細い足だ。
私は10歳前後の少年だった。
クメとかクメンとか、そんな名前だった。
 
場面が変わり、家の中で父親と話していた。
私がどでかい本を熱心に読んでいると、
「もっと勉強しろ、そうすればもっと本が読めるところに行けるぞ」
と言われた。
家は、土とレンガで出来ているようで、黄色っぽいオレンジ色だった。
 
また場面が変わり、私は成人していた。
着ているものは床すれすれまで裾があり、
凝った柄の上着かベストのようなものを着ていた。
私は神官になったようだった。
 
また、場面が変わった。
運河の傍で、女に迫られて、キスをした。
茶色いくるくるの天然パーマで、太いしっかりした髪の女だった。
私の年は30を越えているようだったが、
生まれて初めてのキスのようだった。
私は少し、震えていたかもしれない。
突然、右胸に短剣を突き刺された。
その女の手に、血糊がついた短剣が握られていた。
そして、驚きと痛みで呆然としている私を女は運河に突き落とした。
運河は、ナイルのようだった。
私はそのまま、河に流され、出血多量で死んだようだ。
「なぜ、こんなことに・・・何が起きたんだ・・・」
と思って訳が判らなかったが、
女は私を突き落とすと私に向かって唾を吐くようにした後、
「愛を知らない神なんて・・・」
と言った。
そして、私の血糊がついた短剣を川岸の土に突き立てて、慟哭していた。
彼女がその後どうなったのかは判らない。
私は、彼女に愛されていたのかもしれない。
 
その言葉を聞いて(幽体離脱してたのか?)、
「ああ、私は神に仕えていたのではなかった」
と気がついた。
私はただ、もっと知りたくて、本が読みたくて神官になったんだと気が付いた。
そして、神事は皆が望むから、望むままにすることで喜ばれるから、型通り執り行っていただけだと気が付いた。
  
年代は、紀元前167年という。
他に、紀元前158年、193年が出てきた。
生まれたのは紀元前193年で、死んだのは紀元前158年なのかもしれない。