そんなに、嫌いじゃない

私とは、何なのか
を問い続ける
これが自分と垂直につながる問いだ
と思って、問い続けている。
社会や、環境や、その他もろもろの周辺を思うことは
存在に対して水平な問い
自分とは何なのか、は、存在に対して垂直な問い
というように今は感じている。


知らないで着ていた、着ぐるみのジッパーを見つけたような
そんな妙な安心感を得たのだが、
なんだかわからないもやもやしたものがあり、フォーカシングした。
(また多少えぐい表現あり)



目の前に、右手にジャックナイフを持った人が躍り出る。
なにか、含み笑いのような、何かを得たような笑いをしている。
その人は、いつの間にか私自身となっていて、
胸の中心にナイフを突き立てると
下腹に向かって
一直線に下ろした。
どろりとした鮮血が腹から滴り落ち、
そこから、子どもの頭のようなものがずるりと落ち、
「産み落とした」という思いとともに、人が床へ落ちた。
その人は、私である。
頭からつま先まで血みどろだ。
両手両膝を床に着いている私の下でゆっくりと起き上がるようにして
私を背負うような形で背中を私の腹にぴったりとつけると
もう体に力の入らなくなった私を、背中に乗せてひっくり返し
床に仰向けにさせた。
もう、何もできない、という感覚。
脱力感、しかし、もう終わったというような、解放感。
私は、血みどろの新しい自分を見上げる。


見上げられた、腹から出てきた自分のほうになってみる。
いつの間にか、同じ年齢の私になっている。
血と同じ色の、スリップドレスを着ている。
そして、腹を裂かれて血が抜けて、白い色になっている自分を見下ろす。
これは、過去の私だ、私の、纏っていた殻だ、と思う。
もうこれはおしまいだ。
「これ」によって、私は、今の私になった。


床に横たわる私に、また意識を戻す。
見上げる、赤いドレスの自分。
しっかりと存在感のある茶色い目を見る。
その自分に、「私のことを、どう思う?」と問うた。
彼女が、「私」である過去を観ているのを感じる。
様々なことがあった、すべて、他の道はなかった。
よくやってきた、他に、言えることはない。
「そんなに、嫌いじゃない」
と、赤いドレスの私は言った。
大変だった、よくないこともあった。
けれど、私はよくわかっている、この私を。
「それは、よかった」
それは、うれしい。
横たわる私は、目を閉じた。
それで、終わりだ。