強さなんだ

自分に足りないものに気付くことは、強さなんだ。
自分の痛みに耐える強さ、
ありのままを見つめる強さ、
未来の自分を支える強さ、
自分を変える勇気と、それを行う強さ、
いずれ、同じ痛みを持った人に寄り添えるようになる強さ。


自分を祝福しよう。
私は少し、強くなった。
誰をも傷つけようとはしない強さ、
こういう強さをずっと欲しがっていたじゃないか。

 ・「実力不足」だった、と、
 女子カーリングの選手が言っていました。
 必要以上に自己卑下しているわけでもなく、
 考えることを放棄している感じでもなく、
 とても正面からのことばとして
 「実力不足」ということが語られた気がします。
 
 まったく参加することもできないような競争で、
 「実力不足」なんてことは言えません。
 「あわよくば好成績も」と欲がでてしまうくらいの強さ、
 というか、弱さが認識できたときに、
 やっと言えるようになるんだろうと思うのです。
 今回、これを言えた選手は、
 ようやく「実力不足」と言える地点に到達したんですね。
 つまり、「実力不足でした」なんて言えるほどの実力は、
 なかなかつくもんじゃないんですね。
 
 他人のことはわからないですが、
 ぼくがいちばん長くやっていた
 コピーライターという仕事で、
 「実力不足だなぁ」と感じたのは、
 おそらく中年になってからだったと思います。
 大きな「無力感」といっしょに感じたものでした。
 でもね、「実力不足」を感じてから後のほうが、
 あらゆることがおもしろくなったのも確かです。
 
 ぼくより若い人たちに、こころをこめて
 おせっかいなことを言ってあげましょう。
 「キミもいつか実力不足になれるといいね」ってね。
 で、ついでに、ぼくはいまも「実力不足」のままです。


ほぼ日刊イトイ新聞 - 目次 2010-2-25