思いを伝える

オリュレイアについてのイメージが
ぼんやり瞑想中に出来ていた。
なんか、前世みたいだったので前世のカテゴリーに。
長いので「続きを読む」、形式にします。


オリュレイアは、どうやら地球人ではないらしい
というのがわかってきたので、
「私の先入観にかかわらず、容姿を見たい」
というようなことを思っていたら、
目が六つ(!)になった。
縦に二列、三つずつ。
一番上が赤紫、青紫、群青で、白目がない。
アフガンハウンドのような顔の形で細く短い体毛がみっしり生えている。
肌は白、指七本、手足頭の数は人間と同じ、白いショートヘア、
服はぴったりし、裾はコートみたいな。
足はブーツを履いている。
白っぽい銀色みたいな壁。
壁は、イカの体色が変わるようにして何色にもなれる設計のようだ。
壁の一部は時折スクリーンになり、映像を映し出している。
宇宙船の中らしい。
この船は重力を作る装置があるのか、
無重力のようにふわふわしたりはしない。


私はこの宇宙船の中で生まれ、
宇宙空間でずっと暮らしているらしい。
私の精神状態、健康状態、次に何をするか
すべて、宇宙船のプログラムでチェックされ
面倒を見てもらっている。
通信をしているのか、それともプログラムが対応しているのかわからないが、
寂しいと思うくらいのときにちょうど通信が入り雑談ができたり、
逆に、寂しさに耐える心を養うために、通信プログラムが不具合を起こしたりする。
そういった一連の現象についての理由をよくわかっていた。
もう、大人といえる年になったから、それをわかるようにしてもらえたのかもしれない。
私は、何かの目的があって、こうして宇宙空間を旅することを求められている。
「人間である今の私」と、寂しさなどの感情の強度が全く違う。
寂しいとは思っても、焦燥感におかしくなることはない。
私を送り出した存在への、ゆるぎない信頼があるようだった。
私は、卵の状態で宇宙船に載せられ、その卵から宇宙船内で孵り、育った。
宇宙船のシステムによって養育された。
私が生まれたばかりの頃、まだ、私のほかにもう一人の人が乗っていて、
私をいとおしそうに頬をなでたり、抱きしめたりしてくれたと覚えている。
私を「オリュレイア」と名づけたのはその人なのだと、宇宙船が教えてくれた。
私は愛されており、本当の孤独を感じたことはない。
多くの感情は夢のようなものだと、知っていた。
そしてその夢を存分に味わうことが、生きるということだと、思っていた。


私たちは、記憶を継承するシステムを持っているらしい。
生態系として持っているのかもしれないし、科学として獲得したのかもしれない。
いつ、どうやって継承されるのかが私にはよくわかっていない。
産卵するときに子供に伝わるのだろうか。
私は、毎日レポートを提出し、自分の故郷の星(ゼルベル?とか)と交信していた。
けれど、私が卵の状態でこの宇宙船に乗ってから、とても長い時間が過ぎており、
もしかしたら故郷の星はもうないかもしれないという気もしている。
それでも、私がこうして旅を続けることには意味があると思っている。
年を取り、私は自分がこの形で生きることはもう終わる時期が来ていることを感じている。
宇宙船を通じて、実際に会うことのない友人たちとそういった話をすることも多い。
毎日深く落ちる瞑想空間のようなところで、導師(マスター)のような人と人生について語り合ったりもする。
現れる人は時により変わり、実在の人か、妄想の人かはよくわからない。
おそらく、前に「現在の私」がフォーカシングでオリュレイアを見たのも、この空間に相当する場所だろう。
そこで、マスターに会っている。
「あなたに、この人生で隠されてきた、とても大きな喜びが与えられるときが
もうすぐそこにきていますよ」
とマスターに言われる。
死のときか、と思う。
映像で見た、美しい故郷の景色を実際に見たらどんな感じだっただろう。
紫色に染まる深い渓谷を、眺め、その谷間を舞ってみたかった。
宇宙船の中では、階の移動のほか、飛ぶ必要はなかった。


ある日、宇宙船のシステムに
「あなたの、最後の、最も重要で素晴らしい仕事をするときが来ました」
といわれて、今まで開けたことのない扉が開いているのを見た。
触ってはならない動力源が向こう側にあると思っていた場所で、
扉さえ存在していることに気がつかなかった。
どんな異変にも気づくように、非常に鋭敏に生まれついている私が
扉に気づかないなどということは異常なことだった。
この扉が、故意に隠されてきた特別なものだと知った。
扉を開けると、空気が暖かい。
焼いたパンのような芳ばしい香りがして
引き出しのひとつのランプがついていた。
そこを押すと、レールに乗って、一抱えもある卵が現れた。
薄黄緑色の殻の中に、ひとつの命が透けて見えた。
卵の中でそれは、目をつぶって、手を合わせるようにしている。
胸から、こみ上げるものがあった。
涙が出そうだった。
なんともいえない思いに、表現が見つからなかった。
これは、私が直接目にする二人目の同胞の姿だった。
彼は私の兄弟であり、
子供であり、
未来であり、
私自身でもあった。
生まれてから、もっとも丁寧に、愛情を込めて「彼」を抱き上げた。
ああ、これは、喜びだ。
卵の中で、「彼」が動いているのを感じた。
そして、「彼」の後に続く多くの同胞たちが、
隠された扉の後ろに、生まれるのを待って眠っているのを感じた。
私は彼にヂュレーンという名前をつけた。


そして、ヂュレーンが物心つく頃、私は死を迎える。
ヂュレーンが私の記憶を引き継ぎ、また旅を続けるだろう。
私の肉体と記憶は、私の死と共に睡眠カプセルの中で解かされ、宇宙船を循環して、ヂュレーンの生命としていずれ取り込まれる。
私たちは、そうして生きてゆく。




うーむ。
ヂュレーンを渡される日は死ぬ日から逆算されて決まったと思われる。
オリュレイアの性別は多分女性よりではないだろうか。
もしくは、明確な性別のない生物かもしれない。
なんか、虫と哺乳類の間みたいな見た目だったけど・・・。
この人生でもっとも特徴的だったのは、とにかく心が静かだったこと。
何が起こっても大丈夫という思いがあったのかなぁ。
坊さんのように淡々と毎日を送っていたなー。
記憶が継承されてゆくにもかかわらず、知っていることと知らないことがあったのは
その記憶にアクセスするキーが制限されていたとか、そういうことのよう。
もしくは、同属の場合は摂取すると記憶が受け継がれるのかも。
あとは、前の世代と同じ年ぐらいのことまでしか思い出せないとか。
よくわからないが・・・。
ヂュレーンが生まれた後の記憶は、受け継がれない自分だけの記憶だという意識はあった。
宇宙空間に居たのは探査の意味が強そうだったけど、何のために星間旅行をしていたのかしら。
ヂュレーンの後、何世代か後にどこかに行こうという計画があるのかもしれないが、
そういったところは出てこなかったな。
故郷がなくなって、次の場所を探していたのかなぁ・・・。


てか!ヂュレーン見てから子供がほしくなってしまったんだが・・・。
いや、ヂュレーンみたいな子供は困るけどwww(卵入りで目が六つ、指七本)
それに今の私の状態で子供だけ突然出現してとか、ありえん状態ですが/汗。
次の世代が、光のように見えるのは
まあ、本能なのかもしれないが、いとしいよ。
その子に、喜びがありますように、って思うもの。