アオスジアゲハになった

なんだか、鼻をかんでみると左鼻孔にできものが。
たぶん脂肪の塊ですが。
そんで、またフォーカシング。
なんだか気持ち悪い表現があるのでご注意。


暗いモノクロの雰囲気のおかっぱの女の子が現れる。
寂しさを恐れている、という言葉が浮かぶ。
私の前にいるので、かがむと、
彼女の右半身が鉄のポールでできた機械じかけのようなものになる。
その右腕は、2mぐらいあって、私の左側からざっくり、鰻の串打ちみたいに刺される。
だーっと自分の血が、足元に広がる。生暖かい。
「愛しているのなら、抱きしめて」というようなことを言われる。
まあ、これも自分だものなぁ、と思う。
抱えあげると、彼女の眉間からつむじにかけて裂けて蛆がわいている。
うへぇ、気持ちわるい〜、と思っていると、彼女の頭の真中から緑色のゲル状のものが出てくる。
それは、なんとなく人型をしていて、私の右手のひらから私の中に入る。
その入ってきたものは、「誰かになれって言わないで」と何度も女の子の声で言っている。
怖がっている子どもの、哀願するような声だ。
緑色のものは私の中で、ぐるり、と動いたりしている。
うへぇ、気持ち悪い〜、気持ち悪い〜、としきりに思う。
蛹の中で幼虫が動いているような動きだ、と思うと、
私の後頭部を割いて、蝶の頭が出てくる。
うわわわ・・・蝶はだめなんです、気持ち悪い。本当に気持ち悪い。
私の頭に足を置いて、蝶は後ろにぐいと背伸びをし、羽を出す。
私は鳥肌立ちっぱなし、刺されて血は流れっぱなし、中身はカラ。
「誰かになれって言わないで」と蝶はまだ言っている。
羽が乾くと、何回か羽ばたいて私の左腕にとまる。
正直、とまらないで!複眼が気持ち悪いっす。
羽を見ると、アオスジアゲハだ。
私から出てきたので、1mぐらいある。
あの、胴体のブアブアしたところとか、複眼とか毛とか足とか鱗粉、だめなんです。
蝶とか言っても私にとっちゃ蛾と一緒、ゴキブリも同党。
あーっ、手にとまってるよ〜。
でかいよー。
羽ばたかないで〜〜。
「誰かになれって言わないで」って言われてもー/涙。
気持ち悪いんだよ〜。
気持ち悪いよー。


気持ち悪い、という感じはなに?
と訊くと、「予想外の才能があることは恐ろしい」という言葉が出てくる。
「誰かを脅かすかもしれない何かを持っていることは恐ろしい」と。
は、と見ると、アオスジアゲハは7cmぐらいになっている。
「私であることは恐ろしい」と声がする。
私である力を発揮することが怖ろしい、と。
アオスジアゲハが、腕にとまったままパタタタ、と羽ばたく。
ちょっとびびっているぐらいの感じに感覚が変わっている。
「美を使え、力を受け入れろ」「受け入れろ、贈り物を受け取れ」
と男のような低い落ち着いた声がする。
アオスジアゲハが、私の左腕の上をよちよち歩く。
もう、そんなに気持ち悪くない。
気持ち悪いけど。
右人差し指を差し出すと、その指に登ろうとする。
小さく羽ばたく。
少しかわいい、と思う。


左側から、女性のような声がして「あー!アオスジアゲハ!」と言って手を出そうとすると、
アオスジアゲハはひらりと前に飛び立ち、風に巻き上げられるようにらせんを描いて、上に上に飛んでいった。
暫くすると降りてきて、私の右肩にまた止まった。