時間を超えてゆく

また、風呂場でフォーカシングをしようとしたら、オープナーちゃんが出てくる。
「えー、もう関係性のフォーカシングはとりあえずいいって」
と思って他の感じを探そうとすると、
巫女のような白い着物に袴、烏帽子を着けた女性が出てきて、
有無を言わせぬ雰囲気の笑顔で私の前に座り、両手をかぶせるようにぎゅうっと握り
「今、準備ができていることからやることです」と言う。
そうでしょ?と言わんばかり。
こわい。
うう、わかったよ、と思うと、深く一度頷いて、その人は消えた。
あんた、だれ・・・。


今練習している、愛の挨拶が流れている。
この音は、私が弾いている音であるが、私は他にもいる。
私はロングドレス、オープナーちゃんはタキシード。
少し芝居がかったようにお互い礼をして、手を取って踊る。
上から見て、右回転で踊る。
一回回転すると、私が一つ年を取る、オープナーちゃんが一つ若くなる。
何度か回るうちに、私とオープナーちゃんの年が同じぐらいになる。
「ああ、一つのターンは二度と繰り返しのきかないものだ、けれど一見どれも同じに見える」と思う。
私の思いが見えたかのように、オープナーちゃんはにっこりする。
くるくる回るうちに、私は老婆になり、彼は小学生のように。
気がつけば、白く輝く床に、赤ん坊が仰向けに横たわっている。
「よい人生でした」という感情が、心に浮き上がる。
これは私のものか、相手のものか、それとも他のどこかからのコメントなのか、区別がつかない。
赤ん坊に手を伸ばそうとすると、私の老いた指先から、砂のようにさらさらと崩れていく。
細かな灰のようになって、私は風に飛ばされて、消えてなくなる。
赤ん坊は、さらに小さな塊になり、米粒のようなわずかな光になり、消えてゆく。


またいなくなってしまった・・・。
書いていて気がついたが、ベンジャミン・バトンみたいな内容だ。
ベンジャミン・バトン、DVDになったら観てみよう。