スフィンクス、自分の星に帰る

関係性のフォーカシング in うちの風呂。
私の目の前に、男性が立っている。
その人が両手を私に伸ばし、私は抱き上げられる。
男性の右肩に手を置くと、私は背筋に引っ張られる感覚に引き上げられるようにして、後ろにのけぞり大きく伸びをした。
男性の両鎖骨あたりに手を置いて踏ん張っていたその手は、私が伸びの姿勢から戻れば、ライオンの手のようにふさふさの毛におおわれている。
伸びをしたのと同時に、私の背には二枚の羽が生えている。
羽は、鳥の羽のような形だが、なんとなく薄っぺらい感じで金色の光の鱗粉をまとっている。少し羽を動かすと、その鱗粉が物凄い光を周りに振りまく。
肩から胸の下、下半身に向ってライオンのような体になっているが、しっぽは蛇かトカゲのようである。
胸は丸出しで、金色の刺繍のような凝った作りの首飾りをしている。
私の髪はパーマをかけたように波を打ったロングヘアを、まとめ上げて王冠のようなもので止められている。
抱きあげられている状態に、いらいらというか、うずうずしてくる。
動きたくて仕方ないという感じ。
じっとしていられない子供のような。
私は何回か羽ばたいて、彼の腕から出て、彼の肩に前足を置いたままホバリングする。
深呼吸と共に、大きく肩を回すように3回羽ばたいた。
すると、体のサイズが羽ばたきと共に3倍の大きさになった。
私は、「さあ」と男性を促した。
「私の腕は力がなくて、あなたを抱き上げることができない。あなたの力と意志で」というと、男性は私の首にしがみつくようにした。
私はそのまま、大きく羽ばたいていく。
垂直に舞いあがって行き、地上を離れ、地球が見える。
そのままどんどん羽ばたいていくと、急に、後ろに引っ張られ始める。
後ろにある星の重力によって、私はその星へ落ちてゆく。
途中で、くるりと向きを変えると、乳白色に曇ったつるつるのガラスのような星がある。
私が、その星に四本の足を付けると、そのガラスのような星の中へ落ちてゆく。
私にしがみついていた男性は、そのガラスの表面から中に入れない。
しかし、神経が繋がったように、中の情景を見ているのが分かる。
私は、その中で溶け込むようにしてある、多くの同胞の心につながっていくのを感じていく。
ふとすると、同胞と私の心が入り混じり、境界が分からなくなる。
やっと帰ってきた喜びと、私が帰ってきたことを喜ぶ同胞の思いが波のようにうねる。
喜びであふれている。
同じ、スフィンクスの姿をした人々が私の周りに集ってゆく。
私は、愛するものを連れてこなければ二度と帰れない旅に出たようだった。
それは、星を維持するためかもしれなかった。
乳白色の淡い光に満たされて、他には同胞の姿ばかりだった。
皆、一度は星を出て帰ったもののようだった。
まだ帰らぬ者もあるらしい。
地面のようなものがあるようでなく、天のようなものがあるようでなかった。
すべてが概念でできているのかもしれない。
帰ってきた喜びはとてつもなかった。
けれど、私はまた、連れてきた人が地球で生きるためにも、自分の星から離れるだろうと思っていた。




・・・なんじゃこりゃ。
それで、私は何を考えているんだこれ。スフィンクスの星・・・?