凍

凍 (新潮文庫)

借りて読んだのだが、本当によかった。
早くも上半期ベストだなぁ・・・。
　
山野井泰史、妙子夫妻のヒマラヤの高峰、ギチュンカン登頂への道。
　
ギチュンカンというのは、山の名前で、チョモランマの近くにある山の名前。
極限の寒さ、体力の駆使、判断力。
その中で、進むということ。
　
これが、恐ろしいことに、この話は実話なんですよ！
後で知り、激烈に驚愕。
一人称で書かれている部分が多く、山野井氏本人が書いているのかとすら思わせるような、細密で目に浮かぶような情景描写がすごい。
ここまで聞きだし、情景を再現して見せた沢木耕太郎(著者)の聞く力はものすごいものなのだろうなぁ、と思わずにはいられないです。
　
クライマーであるということ。
と、今を選択しながら生きること、
この一歩がなければ、次の一歩はない、すべては続いている、意味のない一歩も、重要な一歩もない、すべてが尊い一歩でしかない、この一歩を踏まなければ、次の一歩はない
これは、生きることそのものではないか。
そう思った。
　
今のところの、今年の最も良い本です。