虎になり、友は虹に消える

フォーカシング。
何かないかね、とフェルトセンスを呼び出したら、
友人と二人で立っていた。
 
ステンレスのたてがみのようなものをまとった虎か、ライオンのようなものがいて、こちらに向かって吠えている。
私は友人と二人で、それをやっつけようとしているのか、攻撃しようとしているのか分からないが、挑んでいる。
とにかくかみつかれないようにと思ったのか、私はその獣の口の中に棒を突っ込んだ。
すると、その猛獣のように思えたものが、小さな猫であったことに気がついた。その猫は、ステンレスの筒のようなものに嵌ってしまい、抜け出せなくなったので助けてくれと叫んでいたのであって、私達を攻撃する気などまったくなかったのだった。
これはまずい、殺してはいけない、と思って友人の方に向かうと、私は一瞬にして大きな虎になった。
「ちょっと待って!」と言ったつもりが、物凄い咆哮になってしまったようだった。
友人は、巨大な虎が目の前に現れたのを見て、恐怖で竦んでいるように見えた。そして一層、殺されてはならないというような思いで挑もうとしているようだった。
筒にはまってしまった猫は、私の後ろで小さな声を上げている。
あっ、
と思った時、友人は槍で私の左脇腹を突き刺した。突き刺したところから、血が滴る。
私はとにかく、私には攻撃する気持ちはない、私は虎ではない、ということを示さなくてはと思う。ああ、私が虎ではないと、私が思うことだ、と思い直すと、その瞬間に裾まである白い服を着た女になった。髪はブラウンでウェーブがかっている。
友人は、槍を持ってびっくりして呆然としている。
相変わらず、私の後ろには筒に嵌った猫がいる。この猫をどうしたらいいのか分からない。
と思っていると、猫のはまっている筒が液体の金属になり、ひゅうっと空に向かって飛びあがっていった。
その先には、男性がいて、液体になった金属を色々な形に変えて遊んでいる。「アートというのは、こういうものだよ。創造的に使うこと、生命の錬金術だよ」と言い、その塊をペンに変えて、さらさらと何事か書いて見せたりする。
私は立ち上がり、椅子に掛ける。そのときの私は、姿はそのままだが性別が分からないようなものになっている。左脇腹から、血が相変らず滴っている。私の足元には、女性がいて、私の膝に手を置き、足によりかかっている。あの猫かもしれない。
私は、「ここだよ」と言って、心臓を指さす。
心臓は、服を透けて赤い姿を見せ、鼓動し、金色の光を見せている。
「本当に止めるには、ここを狙わなくてはだめだよ」と友人に言う。
すると、友人は「それは、できません・・・」と言って、数歩後ろに下がる。友人は、槍を持ったまま、暗い影の中に消えてゆくように見えた。そして、やわらかな風が吹いてくると、虹色の粒子になってかき消えていった。
私は自分の傷口を触ると、手についた血が、金色の粒子になったのを見た。
立ちあがって後ろを振り返ると、金色の粒子が視界いっぱいに広がっている。