ここに居切る方法

海を飛ぶ夢 [DVD]

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半身不随になった主人公の、尊厳死の選択と周りの人々の話。
主人公は、顔しか動かせない。


半身不随と言えば、思い浮かぶのはこちら。

こちらは半身不随どころか、意志で動くのは左のまぶただけ。


どちらの主人公も、初めは「死にたい」と言い続ける。
海を飛ぶ夢」の主人公ラモンは、尊厳死を主張して裁判を起こす。
彼は最後まで死にたいという望みから逃れることはない。
死を甘美なるものとしてとらえている。
結局、自殺幇助によって死んでゆく。


潜水服は蝶の夢を見る」の主人公ジャンも、当初は「殺してくれ」「死にたい」と言い続けるのだが
あるとき、それを言うのをやめる。
自分の自由は、自分の心でどうにでもなるのだ、と気づいたときにそれが終わる。

自分を憐れむのは、もうやめだ


このセリフ、ベンジャミン・バトンでも出てくる。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]

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日々老いていく自分に対して、恋人が日々若返り、美しさを増してゆく。
その中で、若返ってゆくベンジャミンに老いゆくデイジーが言う。


この諦めとも見える覚悟が、

  • 自分が生きる自分は、この自分しかいないこと
  • 事実は事実であり続け、ただ受け入れられることを待っている状態にあること
  • 心は、自分で変えてゆくことができること

を自分に強烈に自覚させ、自分を受け入れる助けになるのだろう。


自殺という形で死を選んだ「海を飛ぶ夢」のラモン。
潜水服は蝶の夢を見る」のジャンとラモンの一番の違いは何だったのか、と考えていたが
現実を受け入れる覚悟をし、それをしたか
ということが一番ではないかと思う。


海を飛ぶ夢」のラモンが、思いつめて叫ぶ言葉にはっとした。

「なぜ、俺はこんなに死にたいんだ!」


もう、自分を憐れむのは、やめよう・・・。
何度迷うことがあっても、それを選んでゆこう。
さいごまで、選び続けよう。

自分を憐れむのは、もうやめだ