目を閉じて、扉とゆく

風呂フォーカシング。
風呂フォーカシングはリラックスできてよいのですが、一時間半以上風呂場に居ることになるのがあれですね。
私らしいっちゅうか。
昔から二時間とか、風呂に入って、烏の行水な両親から「眠ってるんじゃ」「死んでるんじゃ」「溺れてるんじゃ」と思われて確認されたのを思い出した、今。
 
また指かゆかゆになってきたので、「何か言いたいことあったら、よろしく〜」と訊いて、フォーカシング。
3cmぐらいの、着ぐるみの小さいものが出てきた。
牛か羊の着ぐるみ?白っぽい感じ。
何やらを説いている。
愛とか、経験するということ、年を取るということとか。
至極まともな感じだ。
ああ、小さな賢者だな、と思う。
すると、巨大な手が現れて、その小さな賢者を上からばしんばしんとたたき始めた。
見ると、巨大な古風な女性。着物を着ている。ステレオタイプな母親のイメージだな、と感じる。
よく見ると、ねぶた祭りの張りぼてのようである。
それが、あまりにたたくので、私はひょいひょいと登り、右手に松明を持って、それに火をつけはじめた。
張りぼては徐々に火を上げていく。私は自分の周りにぐるっと火を付けると、結構な高さのところからぴょーい、と地面に降りる。
燃える張りぼてのふもとに、少女が倒れている。
みると、少女時代の母である。
張りぼてから落ちたらしい。
ステレオタイプな母親像から抜け落ちた、ということか、と思う。
私は左腕でひょいと彼女を抱えあげる。
暫くすると目を覚まし、私に何事か言い始める。10歳ぐらいのようで、「大きくなったら、海外旅行に行くんだよ!」「すごい本があってね」などと将来の夢を色々語る。あなたの生きたいように生きていいんだよ、と言う。そしてあなたは、本当にそれを経験するのだよ、と思う。
このまま、抑圧しないままにどうか大人になってほしい、と思う。
話していると、彼女が首をぐーっと伸ばす。
すると、彼女は人面鹿になった。
乗れ、という。
私が躊躇していると、「また、コントロールされると恐れているんでしょう。もう、過去のこと。まだ私のコントロールが及ぶか、さあ、試してごらん」と言われる。
そして、彼女の背に乗る。
鹿は空を駆ける。
母との縁ばかりだなぁ、と思う。
下を見ると、昔の中国の文官の格好をした男性が、何かブツブツ言いながら歩いている。
父だ。
嬉しそうにしながら、てくてく歩いている。
母は、父の傍にひらりと舞い降りた。
「私との縁起は、もっと遠いところから」と父はいう。その父の横に、一匹の青緑色の東洋竜がすーっとやってくる。そういえば、父は辰年生まれだ。
「さあ、執着を手放す時。次へ行く時だよ」
と父はいう。母の背をなでている。
母は、ぶるん、と体をふるうと、中国の女官の格好になった。
父と母は手を繋ぎ、「私達の世界は、これから完結へ向かい、おまえは、異なる世界へ。新しいものへ」といって、私の後ろを指さす。
そこには、白い扉があり、キィ、と音をたてて少しだけ開いた。
両親は、徐々に融合し、前足が人間の三本脚、後ろ脚が脚一本で、頭が父と母の二つという変な生き物に変わった。
扉を入るか、と言うところで後ろを振り返ると、「麒麟さん!私達の名前は執着。おまえは私達!」と言われる。
こっちに戻ってきてもよいことはないぞ、という雰囲気を出しており、にやにやして、こちらには苦労だけ、欲しかったらどうぞ、という感じだ。
私は、あの、キリンビール麒麟みたいなイメージが重複している。
たしかに、竜と鹿のあいの子みたいな感じだよな、麒麟、と思う。
白い扉を開けてゆくと、真白いドームの中に白金の少女が座っている。
牡丹の花の中に座っているようだ。
「ようこそ、麒麟さん」と言われる。
ああ、おさなごころの君だ、と思う。
ネバーエンディングストーリーに出てくる、永遠の少女だ。
「老いをおそれているのね。本質は、わたし」
と彼女は言う。
「人は、人の扉。さあ、私を超えてゆきなさい」といい、彼女の後ろの扉を指さす。
そこにはまた、白い扉が少しだけ開いている。
後ろを振り返ると、微笑みと共に、牡丹のつぼみの中に包まれてゆくおさなごころの君の姿があった。
 
扉をくぐると、男性がいた。
白い服を着ている。
先日見たマトリックスででてきた、セラフが来ていた服と同じだ。
「さあ、目を閉じて」と言われ、手を差し出されたので、両手をつなぐ。
空中に浮いた飛び石を、彼の誘導ですすんでいるようだ。
私は、自分の背中にクリスタルの羽があることを感じており、羽があるのになぜ飛ばないのだろう、と思っている。
それは、彼も羽があるのに、不思議だ。
「この過程が大事なんですよ」と彼はいう。
「僕はあなたの扉、あなたはこうして信頼を養っている」という。
私の横を、友人がやってきて、色々一方的におしゃべりして、行ったり来たりしている。
「本当は全て見えているし、目隠しをすることを選んだのもあなただし、羽を使わないでこうして足で飛び石を感じて進むのもあなただ。人は人の扉、僕はこのプロセスを完了するためのあなたの扉ですよ」という。
確かに、目は閉じているはずだし、目の周りにはオーガンジーの目隠しがされているのを感じているが、すべての周りの景色が、私には見えている。
まばらに舞う雲のある青空の上に、飛び石が浮いていて、それを誘導されながら進んでいる。
友人たちは、ヒューっと飛んでやってきては去っている。
「僕という扉を通らなければ到達できないところへ行きましょう。
さあ、思い出して。
全ての人は、すべてあなたの扉だった。
僕はあなたの扉です。信頼を育てましょう」
そうか、
そうだ。
全ての人は、扉だったな、と思う。
こうして、私は信頼を育むんだな。
この先、私はどこへ行くんだろう、と思うと
「それは、まだまぁ〜だ、内緒ですよ」と、嬉しそうに言われた。
 
久々、長いバージョンだぁ。
それにしても、何でみんな中国の格好なのかしら・・・。
まあ、好きだから、いいけども。