16世紀リサ

額縁のような鏡。
鏡から、幼児の手が伸びている。
それをつかんだら、引き込まれた。
 
足元を見ると、やわらかい革のショートブーツを履いている。
恰好は、大草原の小さな家に出てきた少女のような感じ。
枯草の上に立っている。
道の両脇に、ヨーロッパで見るような、古い町並み。
何故道がアスファルトなのだろうか、と思うと
どうやら、土の道が踏み固められて
アスファルトのように見えるらしい。
時代は、16世紀らしい。

薄暗い部屋の中に居る。
焦げ茶色の重厚なテーブルについている。
傍には、白い肌着姿の男性がいる。
白人の顔立ちだ。
私は、茶色が勝った金髪の女性だ。
私は何やら彼と話している。
何の話をしているのかよくわからない。
何か熱い、金属の棒のようなものを握らされる。
私は食事中で、彼が給仕している。
家族なのだろうか。
 
私は、先ほどの彼に壁に押し付けられている。
悲しみと愛情で、頭は混乱している。
彼が、私の右首筋に、ナイフで切り込みを入れる。
涙が出てくる。
彼は、悲しそうな顔をしている。
私は声に出せず、「愛している」と彼に言う。
彼の名前がデイビッドだと、気が付く。
私は彼にキスをしようとする。
彼もそれに応えようと、顔を寄せる。
そのとき、彼が私をリサ、と呼んだ。